ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 シャワーを浴びてくるという彼の背中を見送りながら、かっこいいなぁとしみじみと思う。

 肩幅が広くて背筋は真っすぐで姿勢がいい。惚れ惚れするような後ろ姿に感嘆のため息が漏れた。

 モテるのも当然なのだ。本当に素敵な人なんだもの。

 私だけの彼なんだから誰も好きにならないで、なんて無理な話だ。こうしてプライベートの彼を独り占めしているんだから、それで満足しなくちゃね。

 そんなことを考えながら夕食の和風ハンバーグを温め直し、サラダを盛りつけているうちに慎一郎さんが来た。

「ご飯はどうする?」

 ワインを飲むならおかずだけでいいし。

「うーん」と彼は迷う。

「飲んで。気にしないでいいの」

 妊婦の私が飲めないもんだから、彼は遠慮するのだ。

「やっぱりいい。最近は寝る前のバーボン入りホットミルクが気に入ってるからね」

 キッチンへ来た彼は自らお茶碗にご飯をよそう。

 紺色のバスローブの前は思い切りはだけていて目の毒だ。手を伸ばして襟を合わせるとキュッと抱きしめられた。
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