ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 セレブ御用達の病院だけあって病室はホテルのように綺麗だ。個室だから気兼ねなく話もできるし、ホテルのように用意されているベッドで宿泊できるから、週の半分は泊まってくれる。

 心配そうに彼は私の頬をなでた。

「もう少しだからな」

「うん」

 彼の温もりを感じながら瞼を閉じた。

 こうしているととても安心する。慎一郎さんの存在が今の私にはなによりの薬だ。

 瞼を上げると彼と目が合った。

「少し寝るといい。ここにいるから」

「ありがとう」

 

 そして十二月になり。

 このまませめてなにもないといいけれど、という願い虚しく、私の体調はあまりよくないようで、予定よりも数日早く急遽帝王切開となった。

 虫の息の私に代わり、お母様が慎一郎さんに連絡しようとしてくれたけれど。

「お母様、かけないで」とお願いした。

「彼は。今、大事な、オペを――」

「わかったわ、わかったからしっかりね! 桜子さん、しっかりするのよ!」

「はい」と答えたつもりだけれど……。



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