ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 気が遠くなり、気がつくと私は草原にいて、その先には亡くなったはずの母がいた。

『お母さん』

 手を伸ばそうとして、でも届かなくて。

 お母さん、もういいかな? 私ね、ちょっと疲れちゃって。

 母は左右に首を振る。



「桜子! 桜子!」

 呼ぶ声に重い瞼を上げると、慎一郎さんの顔が見えた。

 慎一郎さん……。

 泣いてるの?

「子どもは元気だぞ。桜子、がんばれ。頼むがんばってくれ」

 手をあげようとすると、彼の手にしっかりと包むこまれた。

「桜子、がんばれ。なぁ、頼む」

 おかしいわ、慎一郎さん。

 いつもがんばらなくていいって、言うじゃない。

 私、ちょっと、疲れて……。

 もう、休んでもいいか、な。

「桜子!」

「姉さん!」

 優斗もいるの?

 目を動かすとお母様とお父様もいて――。

「桜子っ!」

 でも、霞んでいくから、よく、見えないよ……。。

 



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