ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「親父さん、本気でお前のためとか思っているんだろう?」

「それはまあ、そうだろうな」

 だからこそ余計に困る。

 

 俺はやっとできた待望の子というのもあるんだろう。

 両親。特に父の俺への干渉が半端ない。

 俺が医者になったのは、自分が医者になりたかったからだが、結果としてこれまでの俺はずっと父の夢を叶えてきた。学業だけでなく空手に剣道という文武両道も含め、夢を叶える自慢の息子という理想像が、父の中で完全に出来上がっている。

 父が俺に描く未来はこうだ。

 資産家の令嬢と結婚し、朝井総合病院を今以上に大きくし確固たるものにする。

 冗談じゃない。そうやすやすと政略結婚などしてたまるか。

 結婚や恋愛に夢があるわけじゃないが、家に帰ってまで興味のない女の顔を見るのは嫌だ。ましてや、見るからにわがままそうな苦労知らずの令嬢などごめんだ。

 俺はゆくゆくは実家の病院を継ぐつもりでいるし、責任から逃げはしない。

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