ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 ふふ。ようやく言ってくれた。本当のこと。

「うん。わかった」

「いいのか?」

「なにが?」

「コルヌイエからも離れるし、実家に近くなる」

 思わずあははと笑う。

 コルヌイエの名前が出るなんてね。

「私はどこだっていいの。あなたと一緒なら」

 慎一郎さんはフッとうれしそうに笑う。

「本当に?」

 大きくうなずくと、彼は私をギュッと抱きしめる。コルヌイエはいつでも行ける。今度はお客様として。

 コンシェルジュの夢の代わりに私にはほかの夢ができた。だから、なんの寂しさもない。

「幸せか?」

「もちろん」

 恋をしてつらくて悲しくて。それでもこれ以上ない幸せを知った。

 それはあなただったから。

「桜子。愛しているよ」

 私もよ。慎一郎さん。ずっと、ずっと愛してる。

 

 

 

 
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