ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 俺を見るときの目が、他の客に向ける目とまったく変わらない。ときには、貼りつけた微笑みの奥に迷惑そうな色を浮かべたりする。

「マジか。モテモテ外科医の朝井先生に関心がないとは」

 彼女は俺が医者だとは知らない。

 だがきっと、知ったところで気にも止めないだろう。いや、ホテル内で病人が出たときを考えてうれしそうにはするかもしれないが。

 まあせいぜいそんなもんだ。

「しかし、そうは言っても、ずっとホテルにいるわけにはいかないだろ」

「ああ、まあな」

 いつかは出なくちゃいけないが。

「なあ八代、ホテルのレセプショニストっていうのは頼めば家探しもしてくれるのか?」

「えっ、そりゃ不動産屋を呼ぶくらいはしてくれるだろうが。実際部屋を見ないとさすがに不安だろ?」

「やっぱ、そうだよな」

 八代があきれたようにため息をつく。

「お前な、いくらなんでも無頓着すぎるだろ」

「実際どうだっていいんだよ」

「無頓着といや、さっきの研修医さ──」

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