ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 ホテルにとってブライダルは重要な仕事である。

 ウエディングプランナーが担当するが、当日は私たちスタッフもおもてなしに協力する。

 なにしろお祝い事なので、宴のスタートからお客様がホテルを去る瞬間まで緊張を解けない。

 今日は大安というよき日なので、何組かの披露宴が執り行われる。私も駆り出されてお手伝いをしていると「あれ?」と声をかけられた。

「夕月さんか。いやー、全然わからなかったよ」

 その人は新郎の服装をしていた。

「ああ、山本さん。お久しぶりです」

 メガネの奥で人がよさそうな小さな目を細める彼は、同じゼミの先輩で、面倒見がよく優しい人で、私もいろいろとわからないところを教えてもらったりした。

 山本先輩はそれほど背も高くなく、学生時代から体格はぽっちゃり型ではあったが、社会人になってさらにお肉がついたようだ。巨漢とはいわないまでも、お腹にはベルトに乗るようなお肉がついている。かわいい花嫁を迎えて幸せ太りかもしれない。

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