ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 先週おひとりでいらっしゃって、もしかしたらひと月は連泊するかもしれないと聞いている。

 長期滞在する理由は聞いていないし、職業が何かもわからないが、彼が使用するカードはブラックで、滞在中の部屋はスイートルームだ。かなりの資産家なのは間違いない。

 スイートルームのフロアには専属のコンシェルジュがいるが、彼はなぜか私を指名してくる。上客の彼の要望なので、上司からは朝井様の対応を優先するように言われているが--。

 エレベーターを降りて、まっすぐ部屋に向かいドアの前に立つ。

 背筋を伸ばしてふぅと息を吐く。

 インターホンを押して朝井様の応答を待つ。

 が、しかし、何秒待っても返事がない。

 さて、どうしよう。待ちくたびれて寝てしまったとか?

 腕時計の針を見ながらもう一度インターホンを押してみた。これで出てこなければお部屋へ内線をかけてみよう。

 今度は待たずにドアの鍵が解除された音がする。

「お待たせいたしました」

< 7 / 273 >

この作品をシェア

pagetop