ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「そう……ですよね」

 とはいえ言いづらい。

「さあ」

「慎一郎さん。よろしくお願いします」

 一気に捲し立てると、朝井様はクスッと笑う。

「いいね」

「それで、ご両親は何時頃いらっしゃいますか? お食事はどうします?」

 心配は尽きない。

「午後って言ってたから昼食の心配はいらないよ。まずは君の部屋にどうぞ」

 私の部屋?

「寝室脇の部屋。君が好きなように家具を選んでって頼んだ部屋を使って。必要な家具は遠慮なく使っていいからね」

「ああ、はい。ありがとうございます」

「敬語も禁止」

 調子狂う。でも慣れなくちゃ。

「ありがとう……」

 朝井様がスーツケースを部屋に置いた。

 なんだか変な感じだ。自分で家具を選んだとはいえ、まさか自分が使うようになるなんて。

 部屋を見回してふと気づいた。

 引越しのときにはなかったはずのドレッサーがある。

 いつの間に?

「ついでだから注文しておいたんだ。女性の部屋にドレッサーは必要だろうと思ってね」

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