ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「あ、そうなんですね」

「どう? なにか必要なものがあれば今のうちに」

「大丈夫です。用意してきましたから」

 ドライヤーのほか化粧用のコットン、ボックスティッシュも持ってきた。

 早速スーツケースからボックスティッシュを取り出す。

「ええ? ティッシュまで」

「お気に入りなもので」

 贅沢だけれど、この肌触りを知ったらやめられないんです。



 荷物をしまってリビングに行く。

「朝、いえ、慎一郎さん朝食は?」

「食べたよ。シリアルを」

 時計を見れば九時。食べ直すには微妙な時間だ。

「では昼食は早めに取りましましょう。キッチンお借りしますね」

「大丈夫だよ、食べにいってもいいし、宅配でも」

「慎一郎さん、女性の勘は侮れませんよ」

 首を傾げる彼に説明する。

「まったく使われた形跡のないこのピカピカのキッチンを見たら、お母様は婚約者だなんてきっと嘘だと見抜くと思います。私は引越しと同時にここで一緒に住んでいるという設定なんですよね?」

「なるほど」

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