ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

「ああ。そうだ」

 目が合うとしみじみ思う。綺麗なお顔をしているなぁと。

 この一週間、毎日顔を合わせているから見慣れているとはいえ、彼は冗談みたいに綺麗な顔をしている。

 キリリとした眉に切長の目。鼻梁はスッと高く、口もとは凛々しい。清掃スタッフのおばちゃんたちが彼をスイートルームの王子様と呼んでいるのも納得の美男子だ。

 ただし、ニコリともしないのが玉に瑕。今も冷ややかとも言える表情で私を見下ろしている。

「スーツと普段着を何着か買いたいんだが、どこでもいいから買ってきてくれないか」

 どこでもいい? これほど困る注文はない。

 しかも買ってこいとなるとどう考えても無理だ。

「あの、朝井様が普段ご利用なさるブランドはどちらの」

「うーん。特に決めていない。君に任せる。今日はこれからずっと部屋にいるから、今日中に頼みたい」

 言うだけ言った彼は、「じゃ、よろしく」とドアを閉めようとする。

「お、待ちください」

 慌ててドアに手を掛けた。

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