君はブルー【完】
「そーいえばさー」
「うん?」
「も少しであれだね、ハルハルの誕生日」
「……あー」
覚えててくれたんだ。ちょっと意外。家守さん、そういうの興味ないかと思ってた。
あと半月で、25歳になる。子供のころ考えていたより、25歳ってずっと子供だ。いや、自分で子供、なんて言っちゃう25歳がだめか。
ていうか不倫しちゃう25歳はもっとだめ。私のことです。
奥さんがいるのに、ちゃっかり年下の女と不倫しちゃってる30歳はもっともっとだめ。家守さんのことです。
「なに? 家守さん、お祝いしてくれるの?」
「お祝いしてほしいの?」
「えー。お祝いはいいけど、欲しいものはあるなあ」
「あれー、俺、たかられてるかな」
「お金はかかんないよん」
「あ。なになに。なんかかわいいこと言ってくれそうな予感がする。さては一緒に過ごす時間が欲しいとか言われそうな予感がする。プライスレス愛。かな?」
「苗字」
「……あちゃー」
「苗字が欲しいです。家守さん」
なんかうざいこと言ってる家守さんを無視して、願望を告げると家守さんは途端に気まずそうな顔をして、目を泳がせた。
あからさまに表情が曇ったのが分かる。