君はブルー【完】
「好きだよー、春」
「……具体的に、どこが?」
「……」
答えないんかい。
と不満に思って私の胸元に顔をうずめる家守さんの頭を掴んで、半ば強引にこちらを向かせた。
顔を上げた家守さんは予想に反してなんだか泣きそうな表情をしていて、一瞬怯む。
……え? どういう感情?
戸惑っていると、家守さんは困り笑いを浮かべて、私の耳もとに唇を近付けた。
「ぜんぶ」
かかった息が熱くて、背筋にぞくぞくとした快感が走る。
そういえば、一番最初に家守さんを好きだと思ったのは、声だったかもしれない。
低くて、全身に響く心地いい音。
「……いえもりさん」
「ん」
「かわいいですね」
呟いた私の言葉を、無視したのか照れているのか、何も言わない家守さんは私の肌に丁寧にキスを落としていく。