9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「エヴァン殿下、これまでありがとうございました。どうか新たな聖女様と、末永く、幸せな人生を歩まれてください」
セシリアの淡い初恋の相手であり、この世で最も大切な人。
どんなに罵られようと、冷遇されようと、彼を大事に思う気持ちは変わらなかった。
そして苦労の末、ようやく彼の命を守ることができた。
聖女をやめて初めて聖女らしいことができるなど、皮肉なものだ。
エヴァンのグレーの瞳が、戸惑うように揺らいでいる。
(さようなら、エヴァン様)
そしてセシリアは、エヴァンに背を向けると、デズモンドに手を引かれて扉に近づく。
「セシ――――」
扉が閉ざされる寸前に、エヴァンのか細い声が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。
セシリアの淡い初恋の相手であり、この世で最も大切な人。
どんなに罵られようと、冷遇されようと、彼を大事に思う気持ちは変わらなかった。
そして苦労の末、ようやく彼の命を守ることができた。
聖女をやめて初めて聖女らしいことができるなど、皮肉なものだ。
エヴァンのグレーの瞳が、戸惑うように揺らいでいる。
(さようなら、エヴァン様)
そしてセシリアは、エヴァンに背を向けると、デズモンドに手を引かれて扉に近づく。
「セシ――――」
扉が閉ざされる寸前に、エヴァンのか細い声が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。