9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
五章 元聖女の生きる道
突然の来訪以来、デズモンドはセシリアに会いに、毎夜後宮に通うようになった。
だからセシリアは、初日のようなはしたない恰好で出迎えることのないよう、湯浴み後も、襟まで詰まったドレスを着るようにしている。
デズモンドはいつも優しく、セシリアを気遣ってくれた。
彼の醸し出す大人の空気に心がほだされ、セシリアは無垢な少女のように、いろいろな話をした。
六回目の人生で、魔法修行に出たときに知った、知られざる魔法の知識。
八回目の人生で、疫病の治療方法に奔走していた時に知った、エンヤード城内にある研究所で進められている毒薬の開発について――。
『本当に君は知識が豊富だな。まるで百回人生を経験したみたいだ』と冗談口調でデズモンドに言われ、ドキッとしたこともある。
デズモンドはどんなセシリアの話にも真剣に耳を傾け、驚くほどの記憶力で知識を吸収していった。
そんな風に、毎回エリーの淹れてくれた紅茶を飲み、ふたりで話をするだけなのだが、傍目からはセシリアがデズモンドの寵愛を受けているように見えるらしい。
デズモンドの後宮通いが皆無だった頃は嘲りの目を向けられていたが、最近は嫉妬むき出しの目で見られるようになっていた。
だからセシリアは、初日のようなはしたない恰好で出迎えることのないよう、湯浴み後も、襟まで詰まったドレスを着るようにしている。
デズモンドはいつも優しく、セシリアを気遣ってくれた。
彼の醸し出す大人の空気に心がほだされ、セシリアは無垢な少女のように、いろいろな話をした。
六回目の人生で、魔法修行に出たときに知った、知られざる魔法の知識。
八回目の人生で、疫病の治療方法に奔走していた時に知った、エンヤード城内にある研究所で進められている毒薬の開発について――。
『本当に君は知識が豊富だな。まるで百回人生を経験したみたいだ』と冗談口調でデズモンドに言われ、ドキッとしたこともある。
デズモンドはどんなセシリアの話にも真剣に耳を傾け、驚くほどの記憶力で知識を吸収していった。
そんな風に、毎回エリーの淹れてくれた紅茶を飲み、ふたりで話をするだけなのだが、傍目からはセシリアがデズモンドの寵愛を受けているように見えるらしい。
デズモンドの後宮通いが皆無だった頃は嘲りの目を向けられていたが、最近は嫉妬むき出しの目で見られるようになっていた。