9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
カインは従者に誘われ、階下へと続く螺旋階段を下りている最中だった。
だが階段の一番下にたどり着いたところで、伸びてきた手に引かれ、柱の陰に無理やり連れ込まれる。
「兄上!?」
不意打ちで不埒な真似をした輩が敬愛する兄エヴァンだと知り、カインは驚きの声を上げた。
騒がないようその口元を片手で覆い、エヴァンは「静かに」と低い声を出す。
「オルバンス帝国には俺が行く。だからお前は、しばらくの間別荘にでも姿をくらませ。供の者には俺からうまく言う」
「ですが、父上は僕を使者としてお選びになったのです。そのようなことをしたら、お怒りになられます」
懸命に抗おうとするカインを、エヴァンは冷めた目で見下ろした。
「言うことを聞かないなら、お前のお気に入りの本をすべて焼き払ってやろうか」
「な……」
だが階段の一番下にたどり着いたところで、伸びてきた手に引かれ、柱の陰に無理やり連れ込まれる。
「兄上!?」
不意打ちで不埒な真似をした輩が敬愛する兄エヴァンだと知り、カインは驚きの声を上げた。
騒がないようその口元を片手で覆い、エヴァンは「静かに」と低い声を出す。
「オルバンス帝国には俺が行く。だからお前は、しばらくの間別荘にでも姿をくらませ。供の者には俺からうまく言う」
「ですが、父上は僕を使者としてお選びになったのです。そのようなことをしたら、お怒りになられます」
懸命に抗おうとするカインを、エヴァンは冷めた目で見下ろした。
「言うことを聞かないなら、お前のお気に入りの本をすべて焼き払ってやろうか」
「な……」