9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「いいえ。たんに僕の興味本位で聞いただけです。時空魔法を経験できるなんて、いいなあと思いまして」

ベンジャミンがいたずらっ子のようにニコッと微笑んだ。

そのとき、バンッと扉が開いて、銀色の髪を乱れさせたジゼルが入ってきた。

そしてベッドの上に起き上がっているセシリアを見て、瞳を輝かせる。

「まあっ、セシリア様! お目覚めになられたのね! よかったわ!」

ジゼルはがばっとセシリアに抱き着く。

女同士とはいえ気安く彼女に触れるジゼルに、デズモンドは苛立ちを覚える。

セシリアにスリスリと頬ずりまでしている彼女の肩をつかみ、グイッと後ろに引いた。

「やめろ、セシリアは体調を崩しているんだ。それにその髪はなんだ。それでも貴族令嬢の端くれだろ」

乱れた銀色の髪をわしゃわしゃともとに戻してやると、ジゼルが子供のように頬をふくらませた。
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