9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
セシリアはランスロ―子爵の亡き妻が生んだ娘で、後妻の現ランスロ―夫人とは血がつながらない。

そのため、現ランスロ―夫人は夫が違う女に産ませた義理の娘を憎み、当てつけのようにこき使った。

自分が生んだ娘――セシリアの義妹となるジョージーナばかりをかわいがり、セシリアにはろくなドレスも与えず、家庭教師をつけることもなく、まるで使用人のように扱ったのである。

事なかれ主義者のランスロ―子爵は見て見ぬフリで、セシリアはつらい幼少期を過ごした。

だがセシリアが十歳の頃、青天霹靂の事態が起こる。

セシリアの左手首に突如、青々とした“聖女の証”が浮かび上がったのだ。

大陸内では小国に過ぎないエンヤード王国は、ダリス神と呼ばれる魔法の守護神からの加護で成り立っている。

聖女はダリス神の使いであり、高度な魔法を操って、国に安泰をもたらすと云われていた。
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