9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
神から聖女に選ばれた者の左手首には、“聖女の証”と呼ばれる聖杯を象った青い痣が浮かぶ。

なぜ聖杯の形なのかというと、初代エンヤード王がダリス神の力を借りてこの国を建国した際、聖なる盃で祝杯を挙げて永遠の絆を誓った伝承に由来すると考えられていた。

聖女はいつの御代にも必ず存在して、亡くなると別の者に痣が現れる、“伝聖”という現象が起こる。

つまりそのとき、高齢だった聖女が亡くなり、セシリアの身に伝聖が起こって、神から新たな聖女に任命されたというわけである。

エンヤード王国にとって、聖女は絶対的な存在。

妃に迎えればその王は長生きできるうえに国も栄えると伝えられており、セシリアはすぐさま城に召し上げられた。

そして年齢的な関係から、当時王太子だった四歳年上のエヴァンの婚約者となったのである。

虐げられてばかりのみじめな令嬢から王太子の婚約者への、まさかの逆転人生。
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