９度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます

セシリアにとっては夢のような出来事で、最初こそ心弾ませていたものの、そんな日々は長くは続かなかった。

聖女になって一年目、婚約の儀を終えたあたりから、優しかったエヴァンが冷たくなり、セシリアに見向きもしなくなったのだ。

婚約関係だった頃から、セシリアには指一本触れない代わりに、他の令嬢はとっかえひっかえ連れ歩く。

セシリアと顔を合わせても苦い表情をし、夜会ではダンスすら踊ろうとしない。

そんなセシリアに対するエヴァンの態度を見た城の人間も、次第にセシリアを冷遇するようになった。

誰にでも優しいエヴァンが唯一毛嫌いするセシリアは、よほどの性悪なのだろうと噂が立ったのだ。

結果として聖女であり王太子の婚約者という立場でありながら、セシリアは城でも蔑ろにされるようになる。