9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
そもそも、しがない子爵家の令嬢が突如聖女となり未来の正妃の座に収まったことを、若い貴族令嬢たちはやっかんでいて、喜んでセシリアをのけ者にした。

そのうえセシリアは、平凡な容姿であり、歴代の聖女のような華やかさも美しさも持ち合わせていない。

そういったイメージの相違も、軽蔑の一因と思われる。

極めつけは、セシリアの無能さだ。

繰り返すが、ダリス神は魔法の神だ。

その恩恵か、エンヤード王国には魔力を持って生まれる者が多くいる。歴代の聖女は強力な魔力を持ち、火・水・風・土、ありとあらゆる魔法を使いこなして、国民の羨望を集めた。

だが何の因果か、セシリアはそういった魔法を使えない。

そのため、王妃の地位を得るために、セシリアが聖女の証を偽装工作しているのではないかという噂まで流れている。
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