美しすぎる令嬢は盲目の彼を一途に想う
突然の婚約破棄
「カリナ。君との婚約は破棄させてもらう。君がそんなに卑劣極まりない女性とは思わなかった」
王城で開かれている夜会の最中。婚約者である私にそんな言葉を告げてきたのは、この国の第一王子――ロバート殿下。
「君の話はスーランから聞いている。その美しい仮面の裏に、君のそんな醜い姿が隠されていたとはな。まんまと騙されていたよ」
そう言うと、ロバート殿下は落胆した様に溜息を付いた。
ちなみに、私は仮面なんて着けていない。
彼が仮面と言っているのは、『絶世の美女』とも謳われている私の素顔の事。
つまり要約すると、『見た目は美人だけど性格ブス』と言いたいらしい。あ、ちょっと殴りたくなってきたわ。
それにしても、卑劣極まりないだなんて、酷い事を言ってくれるわね。一体何を聞かされたのかしら?
私は、ロバート殿下の後ろに隠れている女性――スーランに視線を移した。
最近になって社交界デビューした彼女は、男性達の間で人気急上昇中だとか。
聞いた話によると、私が『美人すぎる令嬢』と言われているのに対して、彼女は『可愛すぎる聖女』として注目を浴びているらしい。
聖女と言っても、彼女の存在に特別な意味はなく、「聖女様の様に尊い存在」という、ただの比喩表現で聖女と呼ばれているだけの普通の令嬢。
くりっとした大きな瞳に涙を浮かべて、少し上目遣いで子犬の様に見つめてくる彼女の姿は、さぞかし男心をくすぐるのでしょうね。
でもこの子って、ちょっと変わった所あるのよね。
少し肩が触れただけで大袈裟に転ぶし、道を塞ぐように男性と話す彼女に『ちょっとどいててくれる?』と言っただけで、『除け者にされた』とロバート殿下に泣きつくし。
なんていうか、リアクション芸と被害妄想を組み合わせた、新しいギャグなのかなって思うのよね。彼女を見ていると。
それがおかしくて時々笑っちゃうのだけど、それでまた『馬鹿にされた』って誤解されちゃうし。
馬鹿にしてるつもりはないし、むしろ彼女をリスペクトしていると言っても過言ではないわ。
人前で滅多に笑わない私を笑わせるなんて凄い才能だわ。泣いてないで、もっと誇って良いと思うの。
王城で開かれている夜会の最中。婚約者である私にそんな言葉を告げてきたのは、この国の第一王子――ロバート殿下。
「君の話はスーランから聞いている。その美しい仮面の裏に、君のそんな醜い姿が隠されていたとはな。まんまと騙されていたよ」
そう言うと、ロバート殿下は落胆した様に溜息を付いた。
ちなみに、私は仮面なんて着けていない。
彼が仮面と言っているのは、『絶世の美女』とも謳われている私の素顔の事。
つまり要約すると、『見た目は美人だけど性格ブス』と言いたいらしい。あ、ちょっと殴りたくなってきたわ。
それにしても、卑劣極まりないだなんて、酷い事を言ってくれるわね。一体何を聞かされたのかしら?
私は、ロバート殿下の後ろに隠れている女性――スーランに視線を移した。
最近になって社交界デビューした彼女は、男性達の間で人気急上昇中だとか。
聞いた話によると、私が『美人すぎる令嬢』と言われているのに対して、彼女は『可愛すぎる聖女』として注目を浴びているらしい。
聖女と言っても、彼女の存在に特別な意味はなく、「聖女様の様に尊い存在」という、ただの比喩表現で聖女と呼ばれているだけの普通の令嬢。
くりっとした大きな瞳に涙を浮かべて、少し上目遣いで子犬の様に見つめてくる彼女の姿は、さぞかし男心をくすぐるのでしょうね。
でもこの子って、ちょっと変わった所あるのよね。
少し肩が触れただけで大袈裟に転ぶし、道を塞ぐように男性と話す彼女に『ちょっとどいててくれる?』と言っただけで、『除け者にされた』とロバート殿下に泣きつくし。
なんていうか、リアクション芸と被害妄想を組み合わせた、新しいギャグなのかなって思うのよね。彼女を見ていると。
それがおかしくて時々笑っちゃうのだけど、それでまた『馬鹿にされた』って誤解されちゃうし。
馬鹿にしてるつもりはないし、むしろ彼女をリスペクトしていると言っても過言ではないわ。
人前で滅多に笑わない私を笑わせるなんて凄い才能だわ。泣いてないで、もっと誇って良いと思うの。
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