10年目の純愛
「千夏・・・」
裕太は、涙を流して震えている私の肩にそっと触れた。


「触らないで!」
パンッ。

私はその手を叩き落とした。


裕太がこちらを見ていることは気配でわかる。
でも私は下を向き、彼に顔を向けなかった。



「ごめん」

裕太は苦しそうな声を出した。





「10年前・・・」
ぎゅうっと締め付けられる胸に手を当て、私は声を振り絞った。


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