10年目の純愛
それは、突然の知らせだった。


裕太が交通事故で病院に運ばれたという連絡が入った。
裕太が横断歩廊を渡っているときに信号無視の車が突っ込んできたという。

手術室の前で私と息子は震えながら、裕太の無事を祈った。
手術が無事に終わったことを聞いた私は、裕太のスマホから『ナナ』さんに連絡を入れた。

事故をしたこと。手術はうまくいったことを説明すると彼女はほっとしていることが分かった。
そして、
「見舞いに来ませんか？」
と伝えた。
ナナさんは、裕太にはかつてお世話になっただけだからと会いに来なかった。
そして「申し訳ありません」と何度も震える声で謝った。


もしかしたら、ナナさんは来たのかもしれない。
来なかったのかもしれない。
わからないけれど、入院中、私が彼女に遭遇することはなかった。

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