10年目の純愛
チッチッチッチッチ・・・・

私はなかなか寝付けず、何度も寝返りを打つ。
そして、昨夜に掛かってきた友人からの電話を思い出す。



『千夏の旦那さんって今いる?』
「いま、大学時代の友達とごはんに行ってるよ」
『あ・・・そうなんだ・・・』
「何か、旦那に用事だった?」
『ううん・・・そういうわけではないんだけど・・・』


『・・・・・・・・うーんと・・・。私、今、デート中なのね』
「うん」
『付き合って半年で私の誕生日なの』
「おめでとう!そんな日に、電話してていいの?」
『よくはないけど・・・』

「けど?」

『・・・・』

いつも物おじせずはきはきと話す彼女が、歯切れの悪い話し方をしている。


『・・・あのね、千夏の旦那、女の人と一緒にいるんだけど』
「ああ、大学時代の友たちとごはんに行くって言ってたから、その一人なんだと思うけど」

大学時代、男女問わずゼミのメンバーがとても仲が良かったという話を聞いていたので、その一人だろう。
自分がデート中にも関わらず心配してくれる友人の優しさに嬉しくなった。


『あのね・・・今日・・・付き合ってから初めての私の誕生日なの』
「うん」
『彼、ホテルのレストランを予約してくれてて・・・夜景がきれいな・・・所謂デートスポット』
「デートスポット・・・」

『旦那・・・女の人と二人でご飯食べてるよ』



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