10年目の純愛



携帯を置き、隣で眠る裕太を見つめながら、私もそっとつぶやいた。

「ごめんね」

あなたが戻りたくないと言った『現実』は私のことだから。

戻りたくない存在でいてごめんなさい。

そして、私はやっぱり裕太が大好きだから、あなたから離れたくない。

今日見たメールも、昨日の電話も出来事も・・・
すべて心に飲み込もう。


10年前の恋人。
昨夜、何があったかは容易に想像できる。



その人を抱いた手で私を抱きしめる裕太。
少しでも早く、裕太からその面影を消してほしくて、何度も裕太にキスをした。


「・・・千夏だよ・・・」
そう何度も言いながら・・・。


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