アラ還でも、恋をしていいですか?
「わぁ、今日はおにぎりですか。大好物なんですよ!」
昨日と同じ時間帯に畑にいたら、やっぱりあの彼が通って。ペットボトルのお礼に、とアルミホイルの包みを渡したら、ぱあっとまばゆい笑顔が。ドキリと心臓が跳ねたけど、この子は孫だ!と自分自身に言い聞かせた。
「うまい!白米最高!!」
あ、でも、と彼は手にしたおにぎりを見つめる。
「ご飯、めっちゃ美味いんですけど。高い炊飯器でも使ってます?」
「違うわ。お釜を使ってガスで炊いてるの」
「え、マジですか?」
何度めかだからか、少し砕けた物言いが親しくなったようで嬉しい。
「梅干しも美味いですよ。市販のと違ってくどくない」
「それは自家製で毎年漬けてるの。今日は20年ものよ」
「え、すごい!そんなに長く…ぼくが保育園の頃ですよ」
眼を見張る彼との、時間の認識の差をつくづく感じる。
私にとって20年前はつい最近な気がするのに、今大人の彼は当時まだ子ども。
そりゃあそうだ。
昭和30年代前半の生まれと、平成10年代生まれ。
平成10年半ばなんて、彼にとっては大昔だろう。