アラ還でも、恋をしていいですか?
嫉妬

私を睨みつけてきた、敬一くんと同年代の女の子…。

かなり明るい茶色に染めた髪はくるくる巻いて、お化粧もしっかりしているけど、当然シミやシワはひとつもない。
体を包む紫色のスーツは若い女性らしい体の線がはっきり出ていて、タイトスカートから見える脚も綺麗。それに合わせたヒールもたぶんブランドもの。

何より、きつそうな顔つきだけどかなり整った顔立ちに女性の憧れる見事な体つき。自信に満ち溢れる姿は、たとえ私が同い年でも絶対かなわないだろう。

(敬一くんの……恋人……そう、そうよね。あんな素敵な子に、恋人がいないはずないわ……私みたいなおばあちゃんが……恋なんてしちゃいけない……浅ましいし気持ち悪いだけ……)

健一兄ちゃん以来の2度目の恋は、計らずも彼女の登場で自覚した。
健一兄ちゃんと同じ……失恋してから気づくなんて……なんて皮肉だろう。

でも、そもそも私なんかが恋心を抱くなんておこがましいにも程がある。たとえ若くったって……私みたいなのは誰にも愛されない……故郷にも待つ人はいないから、私の居場所は隈崎家だけ。最初から章に愛されて無いのは気づいてた。でも、私は唯一の居場所にみっともなくしがみつくしかないのだ。

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