アラ還でも、恋をしていいですか?

「なっ…!」
「あなたはA社を5年前に退職されている。しかし、取締役解任となるある不祥事を起こしたものの、会社の温情で表向きは降格の後、依願退職という形にしてもらった…ですよね?」

敬一くんが私が初めて知る事実を、淡々とかつ冷静に明かしていく。

「業務上の横領と機密漏えい。どちらも告発されれば、犯罪相当ですよね。ですがその理由が…あなたは会社のため!とよく回る口で泣き落としも入れて会社を誤魔化しましたが…真実はライバル会社のハニートラップにハマり、かつ別の複数の愛人に貢ぐためではね」
「ぐっ……き、貴様!なにを事実無根な出鱈目を!名誉毀損で訴えるぞ!!」
「訴える?逆ではないですか?」

敬一くんが葛西さんに目配せすると、弁護士の彼はスッと一枚の封筒を差し出す。訝しげに手に取った章は、中身を手にしてさあっと青ざめた。

「どうですか?この資料はあくまでコピーで原本は弁護士事務所で厳重に保管してあります。これを、A社に提出したら少なくとも警察は動かざるを得ないでしょうね」
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