アラ還でも、恋をしていいですか?

「幸子さん」

改めて、敬一くんは私へ向き直り椅子から降りてひざまづく。

「ぼくとあなたは確かに年齢差がありますし、それはどう努力しても埋まりません……ですが、ぼくはあなたを幸せにしたい。残りの人生を隣にいる権利がほしい…あなたがどうなっても護りたいし、支えたい。若すぎて物足りないかもしれないですが、最大限の努力をします…どうか、ぼくを選んでいただけますか?」

彼の、真摯な瞳は万の言葉よりも如実にその想いを伝えてくれた。

“彼が本当に私を愛しているのだ”ーーと。

ぽろぽろと、私の瞳から涙が溢れる。

「……わ、私で……いいの?こんなしわしわのおばあちゃん…静香さんのように若くも綺麗でも素敵な女性でもないのに……私は……先に逝くのに……」

私がそう言うと、なぜか静香さんが怒鳴るように援護してきた。

「いいじゃん!幸子さん、あなたすごい耐えぬいてきたじゃん!今度こそ幸せになりなよ!!」

どれだけひどい目に遭ってたか知らずに、一方的に責めてごめんなさい、と謝ってくれた。

「ありがとう……私も……敬一くんが好きです……」

やっと、やっと素直になれた。そして、敬一くんは私のしわしわの手でも構わず握ってくれた。

勇気を得た私は、章へ向かってきっぱり言い切った。

「離婚しましょう、あなた……渋るなら裁判でも構いませんよ。でも、慰謝料はしっかりいただきますから覚悟してくださいね」

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