The Very Mary X'mas 《『出逢いがしらに恋をして』 番外編その2》
 ***

「わ、寒〜い」

 2時間後、ふたりに別れを告げ、表に出ると寒風が吹きつけてきて、思わず身をすくめる。

「こっちにおいで」
 ジュリオさんはそう言って、コートのボタンをはずし、わたしを背中からすっぽり抱きしめてくれた。

 うーん、あったかい。
 体も心もすぐホカホカになる。

「ちょっとだけ我慢して。もうタクシーが来るはずだからさ」
「はい。でももう、ぜんぜん寒くないから大丈夫です」
 そう言うと、ジュリオさんはわたしに回した腕にぎゅっと力を込める。

「ひよりは本当に不平不満を口にしない子だね」
「だって本当に寒くない……」

 振りむいてそう言うと、彼に顎を取られて、そのままキス。
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