The Very Mary X'mas 《『出逢いがしらに恋をして』 番外編その2》
***
 
 渋谷の駅前で簡単に腹ごしらえをしてから、ライブハウスを目指した。

 防音の重いドアを開けて中に入る。

 ライブの開始までまだ1時間ほどあるのに、会場はすでにかなりの人でにぎわっていた。

「さすが、すごい人気だね」
 前のほうのテーブルが開いていたので、飲み物を手に高いスツールに腰掛けた。

「ここって、スピーカー横でやかましいから空いてたのかな?」
「まあ、でもアコギの弾き語りだから大丈夫じゃないか」

 ふたりでそんなことを話していたら、向こうから背の高い女性がこちらに向かって歩いてきた。

 一瞬、知らない人だと思った。

 でも、よく見るとシンプルな白シャツ、ダメージジーンズにスニーカー姿の亜矢美さんだった。

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