捨てられ聖女サアラは第二の人生を謳歌する~幼女になってしまった私がチートな薬師になるまで~
そんな中、新たな混乱が伯爵家を襲う。説明もなくマニーレ家に現れたのは父の再婚相手とその娘だった。
「あんたが私のおねえさま? どんくさそうな人」
サアラのひとつ年下でありながら挑発的な眼差しで見つめてくるのは母親違いの妹であり、今日から一緒に暮らすことになったというクリスだ。品定めするような眼差しに、ぎらぎらとした瞳が怖かった。
「まあ! なんて可愛げのない娘でしょう。これでは旦那様に愛されないのも納得です。その点クリスはなんて愛らしいのかしら。私たちの自慢の娘ですものね」
義母となるエレーヌは出会い頭にサアラを罵った。前妻の娘であるサアラがとにかく気に入らないらしく、口を開けば貶そうとする。そんな娘に父は目もくれず、無邪気に駆け寄るクリスを抱き上げた。クリスは勝ち誇ったようにサアラを振り返る。
「お父さま、おねえさまが私をにらむの! 私こわいです!」
そんなことはしていない。けれどふたりに寄り添っていた義母が信じるのは実の娘であるクリスだ。思い切り顔をしかめるとサアラを睨み、彼女の方がよほど怖ろしい顔をしていた。
「なにを見ているのよ!」
声を荒げた義母に引きずられ、サアラは強引に部屋の外へ追いやられる。お前の居場所はここではないと突き飛ばされ、力任せに閉ざされた扉を呆然と見上げた。
「お父さま……クリスがいれば、サアラはいらないのですか?」
けれど疑問に答えてくれる人はいない。
その日からサアラの扱いは伯爵令嬢ではなく使用人になった。
「あんたは今日から使用人としてはたらくの。おやしきのお嬢さまである私の命令はぜったいよ!」
その一言でサアラの部屋はクリスに奪われた。お気に入りのワンピースも、ぬいぐるみも、髪飾りも全て。
「あんたが私のおねえさま? どんくさそうな人」
サアラのひとつ年下でありながら挑発的な眼差しで見つめてくるのは母親違いの妹であり、今日から一緒に暮らすことになったというクリスだ。品定めするような眼差しに、ぎらぎらとした瞳が怖かった。
「まあ! なんて可愛げのない娘でしょう。これでは旦那様に愛されないのも納得です。その点クリスはなんて愛らしいのかしら。私たちの自慢の娘ですものね」
義母となるエレーヌは出会い頭にサアラを罵った。前妻の娘であるサアラがとにかく気に入らないらしく、口を開けば貶そうとする。そんな娘に父は目もくれず、無邪気に駆け寄るクリスを抱き上げた。クリスは勝ち誇ったようにサアラを振り返る。
「お父さま、おねえさまが私をにらむの! 私こわいです!」
そんなことはしていない。けれどふたりに寄り添っていた義母が信じるのは実の娘であるクリスだ。思い切り顔をしかめるとサアラを睨み、彼女の方がよほど怖ろしい顔をしていた。
「なにを見ているのよ!」
声を荒げた義母に引きずられ、サアラは強引に部屋の外へ追いやられる。お前の居場所はここではないと突き飛ばされ、力任せに閉ざされた扉を呆然と見上げた。
「お父さま……クリスがいれば、サアラはいらないのですか?」
けれど疑問に答えてくれる人はいない。
その日からサアラの扱いは伯爵令嬢ではなく使用人になった。
「あんたは今日から使用人としてはたらくの。おやしきのお嬢さまである私の命令はぜったいよ!」
その一言でサアラの部屋はクリスに奪われた。お気に入りのワンピースも、ぬいぐるみも、髪飾りも全て。