彼の指定席
今日のあたしは喫煙席の担当。
お客様に料理を運んだり、オーダーを取ったり。
喫煙席をグルグル廻りながら、窓の外を何度となく見る。
視線の先には、道路を挟んだむこうがわにあるゲームセンター。
そのゲームセンターから出てくる『彼』を、今か今かと首を長くして待っている。
彼は、このファミレスの常連客。
喫煙席にあるカウンター席、そこの一番はしが彼の定位置。
彼がいつも注文するのは、パスタランチ。
料理が来るまでのあいだ、彼は携帯でゲームをしながらタバコを吸う。