彼の指定席
【5】彼の名前
ゲーセンなんて、高校卒業以来だなぁ……。
いつも店の中から見ているだけだった、彼のいるゲーセン。
やばい。
緊張して足が震えてきたよ。
「茉莉? 入るよ〜」
沙織はそんなあたしのことなどおかまいなし。
すでに店の中に入っている。
覚悟を決めよう。
ここまで来たんだから。
彼に会ったら、
「集客アップの協力に来ました〜」
そう笑えばいいんだから。