彼の指定席


あぁ、なんでこういう時に……。


彼の真後ろにあるボックス席のお客様。

食事が終わったよ。

空いているお皿を下げに行かなきゃ……。



「あたしも、ずっと待っていたんです。増永さんのこと」



早口でそう言ったあと、あたしはその場を離れて、食事を終えたお客様のお皿を下げに行く。



そして、戻ってから、また続きを言う。



「毎日、毎日、待っていて」


「……まじで?」


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