しづき


「……きらい」



ぷいと目を逸らし言う。
なんかむかつくから、お返し。



さっきギュッて、折れそうなほど強く痛く手を握られたから、お返し。



すると、私に絡みつく大きな手がぴくりと反応して



「…いやだ」



拗ねたような声が返ってきた。



「"いやだ"って…。それ、しりとりの続きですか?」


「続きだよ。でも、続きだけどそーじゃない。ぼくの訴えでもある」



なんじゃそりゃ。



と思いながらも、私はすこしいじわるな気持ちになり、その訴えとやらをスルーすることにした。



「だめ」



そう続ければ



「?!…だめじゃない!」



ムキになった白が顔を寄せてくる。



唇を尖らせて、表情全部でいやだって言ってる。



まるで子どもみたいだ。


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