しづき


「白…かわいい」



私の口からぽろりとこぼれた言葉。



それに白は瞳を大きく広げる。



「な、なんだよー」



ぐりぐり、すりすり



私の肩口におでこを擦り付けてくる。



なんか、かわいい。



「白、かわいいかわいい。とってもかわいいですよ」


「うるさいもん。かわいーのはぼくじゃなくて汐月だもん。バカにしないでよね」


「かわいいですよ?私の何倍も」


「うれしくないもん、やめてよね。ぼくはカッコイイって言われたいの」



必死に言い返してくる白。
それがおもしろくてかわいくて、ついかまいたくなってしまう。



そんなやりとりを続けるうちに
最後には「うにゅう…」と唸って黙り込んでしまった。



「白」


「…」


「しーろ」


「……」



完全にいじけモード。



拗ねた大型犬みたいでやっぱりかわいい。


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