しづき
「じゃーいくね、しりとり」
「またはじめからですか」
「ぼくは秩序を大事にする派なの」
ほら、と目で催促される。
誘拐犯に秩序なんて概念があるとは…
「り…リズム」
「むし。あ、虫のほーね。無視よりぜんぜんマシ」
いったいなんの主張なのか分からない。
「…しお」
「おゆ」
おゆ、お湯…ゆ、ゆ…
ゆってあんまり思いつかないかも…。
「うーん…指輪?」
どうにか絞り出すと、白が「え」と声をあげた。
「汐月すご…。奇跡起きたね」
「???」
もしやバカにされている?
"ゆ"から始まる言葉を思いついたことがそんなに奇跡と?
目をぱちくりさせていると、白がいつのまにかどこからか小さな箱を取り出していた。
「じゃーん」
喜色満面。
私は一瞬で理解した。