しづき



それでも───



彼は、他の人と浮気をしていた。






なんとなく、分かってはいた。



倦怠期に入ってからそれなりに覚悟はしていたし、その時が来ても平気だと思っていたけど。



彼は私に贈ったペアリングを、その浮気相手にも…同じものを贈っていたんだ。



いったいどういうことなのか
彼に言い寄れば──



『いちいちうるせーんだよブス。大体、いじめられてるような惨めな女、誰が本気にするかっての。遊びだよ遊び。キモイんだよ』



蔑むような、氷のような冷たい瞳。



知らない人みたいだった。




私は──全然平気じゃなかった。



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