しづき


黙り込んだ私に、白は気持ちを汲んでくれたのか

「そっか…ひとりにしてごめんね」

と頬にキスを落とした。



こんなの、べつに泣くところじゃないのに。



久しぶりのキスに、優しさに

目の奥がじわりと熱くなった。



認めたくないけど、全身が寂しかったと叫んでる。



「もうこんなことないから、安心してね。
大好きだよ汐月。だいすき」



ひときわ甘い声が鼓膜に溶けていく。



胸の中が満たされていく。
母親にだってこんな安心感を与えられたことはない。



白の温もりがひどく嬉しかった。



なんだか顔を見たくなって体をひねれば、包帯の下がびりりと痛んだ。



「んっ…」

「汐月…痛いね、無理しちゃだめだよ」



心配そうに、白は動く私をやんわりと制止させる。



「ほんとごめん。ぼくが暴走したせいだ」


「もう気にしてませんから…」


「ううん。お詫びさせてよ。できることならなんでも叶えてあげるから、なんでも言って?」



その言葉に、私はぴくりと反応した。


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