しづき
「ふふ、ふふふ」
「………」
うしろから聞こえてくる、気持ちのわるい笑い声。
生地をかき混ぜる私の背中に降り注ぐ痛いほどの視線。
さすがに耐えきれなくて振り向いた。
「あの…そんなに見られているとやりずらいのですが…」
白は美しい顔を綻ばせながら、キッチンに立つ私を真後ろで見つめていた。
「いやーだってさぁ。ぼくの汐月が、ぼくのエプロンを付けて、ぼくのために料理してるなんて…コーフンしない?」
なんだそのぼくの三段活用は。
「お菓子作りくらいで興奮しないでください」
「むり、する。
こんなの男のロマンだもん」