しづき
覚悟、とは何なのだろう。
あのとき明らかに目つきが変わっていた白。
普段まとっている優しさに影がかかったような、なにかに堕ちたような表情だった。
「狂っても平気なように…」
白はもうとっくに狂ってる。
好きな相手を誘拐して監禁して、まるで恋人のように愛を囁いては私を縛りつけている。
だけど心の底から
「悪い人」とは思えない。
理由はきっと
彼から滲み出ている優しさのせいだ。
ひとりぼっちで愛なんか知らない私に、愛だけじゃないたくさんの感情を教えてくれたから。
狂っていても、受け入れてしまう。
受け入れられてしまう私は、白に毒されてしまっているのだろうか。
それとも、私も狂っているのだろうか。
よく…分からない。