しづき
「ぼくは汐月を傷つけたくない。
味わってきた孤独も、植え付けられたトラウマも、全部ぼくが塗り替えてあげたい」
「…白……」
「そう思って、ひたすら汐月に尽くしてきた。誰よりも愛してるから」
リビングを出て、向かう先は、ここに来てはじめて目にする場所。
薄暗い奥まった場所に位置する扉を開けば、下へと続く階段があった。
これは…地下?
「白…こわい…」
ぽろりとこぼれた言葉。
白の服をぎゅっと握る。
それでも
「ごめん、もう逃がしてあげられない」
白は、ゆっくりと階段を降りはじめた。