しづき
おとなしくテーブルまで行き、料理を眺める。
「今日はクリームシチュー。
汐月の苦手なニンジンはちゃんと抜いておいたからね」
言いながら向かい合わせに腰かける白。
そんな彼の前には何も置かれていない。
「白は…ご飯いらないんですか?」
「ほくはお腹すいてないからへーき」
嘘だ。
一瞬揺れたその瞳を私は見逃さなかった。
けど、言及はしない。
私はただこの監禁生活から抜け出すために日々を過ごすのみ。
前までは1ヶ月があまりにも早いものだと名残惜しさすら感じていたけど、今はそうじゃない。
ほんと…心がコロコロと変わる。
これもぜんぶ白のせいだ。
「…いただきます」
スプーンを持った。
「こんなことされても食べてくれるんだ」
掬ったものを口に入れようとした時
白がぽつりと言った。
目線を上げれば、美しい男は頬杖をつきながら哀しげに笑っていた。