しづき







ちゃぷんと響く、お湯の跳ねる音。



背後にお湯とは違う温度を感じながら、私は必死に心を無にしていた。



「しーづき」



それなのに、どこか嬉しそうな声がうしろから私の名前を呼ぶ。



「汐月」

「ひゃあっ」



お腹に腕がまわされて、ぎゅうと抱きしめられる。



当たる、触れる、白のすべて。



嫌だって抵抗したのに。
脱衣所のところまで抵抗したのに。



あっさりと服を脱がされ
あっさりと白の一糸纏わぬ姿を見てしまった。



白の…裸を…



「あったかいねー。ちょー幸せ」

「そ、そうですか…」



すぐ耳元で白の声がする。



白の足の間に私が座るような体勢。



うん…信じられない。



彼の姿は私からは見えないし、彼からは私の後ろ姿しか見えないんだけど…



どうしたっていろいろと意識してしまう。


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