しづき
覆いかぶさる白の体からなんとか抜け出す。
ベッドからおりて、手探りで灯りのスイッチをつけた。
視界が明るくなって、改めて、驚く。
白は…血まみれだった。
着ているのは黒いスーツだけど、胸もとや肩のあたりには染みができていて。
ミルクティー色の髪は真っ赤に染まっていた。
なにか危ないことをしてきたことは一目瞭然だった。
まず、白は大丈夫なのだろうか?
眠っているけど、どう見たって安らかなそれとは違う。
「白…」
うつ伏せで寝ている白に近づき、どうにか力を振り絞って仰向けにさせた。
白は背が高い。体が大きくて、天使のような顔をしていてもやはり男性なのだと思い知る。
血に濡れた前髪を持ち上げてみれば、おでこがぱっくりと切れていた。
ぞわっとする。
これが大方の出血のもとだろう。
他にも顔には所々殴られた跡がある。
「いったい何をしてきたの…もう」
仮にも頭に爆弾を抱えているというのに。
時折見せる衝動的な部分には呆れてしまう。
自分で分かっているんだろうか。