しづき
「白、教えてください」
「…それは」
「教えてくれないと、嫌いになりますよ」
「うっ…」
胸に刺さる「嫌い」のひとこと。
ぼくはこの言葉に弱い。
嫌われるくらいなら…怒られるほーがマシ。
そう思ったぼくは、昨晩のことを正直に話した。
案の定、汐月はカンカンに怒った。
だけど最後にはお礼を言われた。
「ほんと、勝手なことをしてくれましたけど、あのクズ男をボコボコにしてくれてありがとうございます」
「え…」
予想外の反応に驚く。
最悪口すらきいてもらえなくなるかと思ったのに。
「私のトラウマを作ったひとりですから。
戦ってきてくれたのは…感謝してます」
そう言って、ぼくの額に触れた。
大きなガーゼが貼られた額に。