しづき


「汐月」



私の名前を呼んで



くちびるを掬い上げるようにキスをしてくる。



もう遠慮なんてしなくていい、まんなか。



角度を変えて、舌が入ってきて。



飽きるまでお互いを求め合った。



「汐月…」

「白…んっ」



強引なのに優しい口づけ。



隙間なくピッタリとくっついては溶けそうになる。





「愛してる」

「しろ…」



「愛してるって言ってよ…
じゃないともう離してあげない」




いつのまにか繋がれていた手をめいっぱい握られる。



ねだるようなまなざしに私はコロッと堕ちてしまって。




「愛してるよ…白」




今度は私からキスをした。




それから夜になるまで

片時も、私たちは離れなかった。



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