しづき


「白ってほんと
私にくっつくの好きですよね」


「当たり前じゃん。
汐月の全部がすきなんだから」


「そうですか…」



ふわりと香る石けんのにおい。
もう何度嗅いだだろう。




「ねぇ、白」

「うん?」



「ありがとうございました」




腕の中で、私は伝える。




「ひとりぼっちだった私に
手を差し伸べてくれて」


「……」


「いつも優しい言葉で包んでくれて」


「……」


「見返りのない、本物の愛をくれて


本当に…ありがとうございました」



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